かつて日本は、経済1流、政治は3流と揶揄されてきたが、経済も国と地方の赤字が1000兆円となり、すでに転落の道を歩んでいる。この政治責任をだれがとるのか。これが、一般企業であれば、赤字の責任は、当然社長以下役員など、舵取りをしてきた者がとるだろう。
しかし、政治3流の我が国において、1000兆円の赤字の責任を自民党がとるとは、とても思えない。それは、アメリカ主導のイラク戦争への加担に対する責任でも同じようだ。

久間防衛庁庁官が、12月7日の参議院外交防衛委員会において、緒方靖夫議員(共産党)の質問に答えて「(日本)政府として支持すると公式に言ったわけではない。(小泉純一郎前)首相がマスコミに言ったということは聞いている」と述べた。なんと、イラク戦争支持は政府の公式見解ではない、小泉首相(当時)の個人的見解だというのだ。
この発言は、極めて重層的な問題を持つ。
1、戦争への参加という重大事項が政府見解なくして首相による判断だけでできるものなのか。
2、政府の公式見解であることが明白であるにもかかわらず、小泉の個人的責任にするのは歴史の偽造でないのか。
3、しかも、この発言をおこなったのが他でもない防衛庁庁官であり、最高責任者がこのような見当違いの虚偽の発言をして許されるのか。
4、そもそも、イラク派兵は明らかな憲法違反であり、国内外に大きな反対や波紋を広げた「大事件」であり、その重大性をどうみているのか。
さて、この久間発言は、当事者であるアメリカにおいて、イラク侵略の責任をブッシュ共和党が突き付けられているということが前提であることは、明らかであろう。
アメリカにイラクを破壊する大義名分などまったくなく、本来「物的証拠」となるはずであった「大量破壊兵器」なるもののかけらすら存在しなかった。さらに、イラクでは、アメリカ軍による民間人の殺害とともに、内戦を誘発させ、国連アナン事務総長が、「フセイン政権の方が国内状況は良かった」というほど、ひどい状況になっている。
こうした状況を作り出したのは、直接的にはアメリカであるが、その強力なパートナーの役割を担ったのが、小泉・日本である。アメリカほどではないにしても、日本の役割責任は大きい。
久間庁官の発言は、小泉をスケープゴートにして、国際的な批判から政府を守り、国内的な批判から自民党を守ることを意図したのは間違いないだろう。
しかし! それでも、あまりにも質が悪い。
政府の公式見解でなく、首相の個人的な意思で自衛隊は海外に派兵され、ひとつの国を壊滅させる手助けができるのか。それでは、とても民主国とはいえない。一筋の論理性もない。これでは、北朝鮮並みの独裁国家と同じではないか。こういう久間の発言を許せば、ばんばん自衛隊を派兵し、あとは「あれは、政府の公式ではなく、首相が個人的に決めたものだ」と逃げ道をつくってしまうことになる。
さらに、翌8日の記者会見では「政府の公式見解でないと発言したのは、不勉強で間違いだった」と訂正し、撤回したのだが、これもまた、とんでもない。
当時、イラクへの派兵は、石油利権の確保を最大課題とし、大義名分として国際的な安全をうたった重要政策であったはずである。このことは、久間が所属する自民党にとっても、自民党が支配する政府にとっても、同様の認識であり、久間が知らないはずがない。イラク参戦によって、自衛隊員のみならず、国民の生命や財産が奪われる危険性がある重大な決定を、「不勉強」などという言葉で片づけられると思っている時点で、すでに終わっているとしかいいようがない。これほどの恥の上塗りはない。
こうした恥ずかしい姿をさらしつづける久間章生という人物が、日本で暮らす多くの人間の生命と安全を守る防衛庁の最高責任者であっていいはずがない。
そして、こうした極めて程度の低い人物を防衛庁庁官に任命した安倍首相の責任も重いだろう。
安倍首相は、今もなお、イラク派兵によって国民を危険にさらしている責任と、無責任の塊のような久間を任命した責任をとるべきではないか。
久間庁官の更迭と、衆議院を解散し、国民に信を問う必要があると思わざるをえない。