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2007年08月06日

●病む社会を感じる

 最近、ほんとに仕事がつらい。どうも会社は、今年中にも上場するらしい。上場企業に“ふさわしい”社内環境にするため、重箱の隅をつつくような“雑務”が増えた。
 それと反比例するように、売上を伸ばすために、給与を抑えている。まさに、一労働者にとっては、踏んだりけったりという状況である。
 さて、8月1日、PL花火大会の影響か、終電間際の電車にも多くの人がのっていた。そのなかで、かなり泥酔しきって、前後左右も分からないサラリーマンが乗ってきた。年齢は30台後半か、中肉中背のサラリーマンである。
 彼は、立ってるのも精いっぱい、盛んに電車に床に唾をはき、床はベトベト。チャックは全開でシャツが大きく出ていたので、不幸中の幸い(汗)でみたくないものは見えなかったが、不愉快極まりなかった。
 僕にとって、イヤだったのは混んでる車内で、ゲロをかけられること。できるだけ目を合わさないようにしながら、用心していた。

 ところが、なぜ僕なのか分かないが“英語”らしき言葉を話しながらからんできた。ずっと、無視し続けたのだが、時折触りに来る。そのときだけは、さすがに気色わるいので、手を振り払った。10分くらい、からまれつづけ、ときおり触ろうとする手を振り払いながら、耐えていた。そして、車内がすいてきたので場所を移動することにした。
 ほっとしたのもつかの間、ふらつく足で、再び近づいてくる。僕にとって、もっとも気持ち悪いのは、嘔吐物をかけられることなので、緊張感が高まった。しばらくして、僕の耳元に顔を近づけ、「殺すぞ、おら」
 僕は、耐えてきたものがプチッと切れた。さんざん人に迷惑をかけておき、床には吐いた唾がたまっている。見るのも身持ち悪い。身も知らぬ泥酔のおっさんに触られるほど気持ちのわるいものはない。そんな男になぜ「殺すぞ」とすごまれないといけないのか。しかも、僕は、何もしていないのだ。
 思わず、その男をにらみつけ、
 「『殺すぞ、おら』って、どういうことや。あんた、さんざん酔っぱらって、車内を汚し、これだけでも大概、軽犯罪や。そのうえ、なんでそのあんたに殺すぞと言われなあかんねん! ふざけるな」
 極度の酩酊状態のこの男も、さすがに、ことの発言の重大さに気づいたのか、態度がコロっと変わり、謝り始めた。
 「自分も酔っぱらってるので、ゆるしてほしい」
 はあ? 僕は酔ってない。仕事帰りで、ヘロヘロに疲れているだけ。そもそも終電間際まで仕事をしてるために、飲みに行く時間すらないのだ。
 さらに、僕の血液は沸騰し、「あんた、どこのサラリーマンや、恥ずかしくないんか」と問い詰めてやった。
 泥酔迷惑男の話なので、本当かどうかは分からないが、NTT西日本・大阪支社の営業課長という。

 NTTには、電話の加入料をめぐる問題でかなり頭に来ているのだが、この迷惑男の話が事実であるなら、NTTはヤクザものを雇っているのかと疑ってしまう。
 というか、事実はたぶん気の弱い男で、泥酔したときくらいしか“偉く”なれない人間なのだろう。そのときは、僕はかなり頭に来ていたのだが、帰宅し第3のビール風飲料を飲みながら、考えてみると、やはり社会が病んでいるんだろうなと思ってならない。
 ここ数年、帰宅に恐怖を感じることが増えたような気がする。人身事故による延着も年に4~5回は遭遇する。そういえば、つい1カ月ほど前も、不審者が車内にいたということで、駅に10分ほど停車し、多くの駅員が車内をかけまわっていたということもあった。
 僕が子どものころは、「家のカギを閉めなくても問題はなく、民宿はフスマのみでしきられている」という安全な国だった。
 今思うと、80年代中期の中曽根政治あたりからちょっとおかしくなってきたように思えてならない。中曽根首相は、「戦後政治の総決算」をかかげ、戦後の安全で暮らしやすい日本の生活を一変させた。労働者の利害を守る社会党を解体しつつ、一方で「日本列島の不沈空母」化を米大統領に約束したりした。
 中曽根康弘という男は、天皇を太陽とあがめるほどの天皇制右翼であり、戦後著した“戦記”には、若い兵士のために慰安所(国家犯罪的性奴隷所)をつくってやったと誇らしげに書いてあるコピーを読んだことがある。
 さらには95年の日経連の報告書も、戦後日本の考えるうえで重要なメルクマールのひとつだろう。報告書には、これからの日本社会のあり方として、10%の幹部社員、20%の有期技術社員、70%の非正規雇用社員を目指すと書かれてあり、当時は到底信じがたいものであった。
 だが、今ではどうだろうか。ワーキングプアという言葉が実感を持って語られ、僕自身をみてもリアルなのだが、やはり明確に“格差”がある。10数年前の日経連(現日本経団連)の思惑通りの社会がつくられつつある。
 こうした社会は、サラリーマンに生きがいや喜びをもたらさない。むしろ、自分の労働が非常に軽くみられているように感じ、けっして少なくないサラリーマン(自分も含め)が病んできていると思う。
 きっと8月1日の「殺したろか、おら」という恫喝も、このコンテクストの中でしか理解できないものなのだろう。
 この国の舵取りをしてきた政権与党の総裁が、「美しい国」を標榜するというのは、趣味の悪いジョークとしか思えない。

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