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2006年12月19日

●今月の読書 佐藤優『獄中記』

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 毎年のことだけれど、11月から2月にかけて、恐ろしく忙しくなる。仕事で忙殺されるのだ。こういうときだからかもしれないが、むしょうに本が読みたくなる。
11月には、マークス寿子『日本はなぜここまで壊れたのか』(草思社)を読んだ。学生のころ、フェミニズムの本を多く出している草思社の本は何冊か読んだことある。この本が、フェミニズムの立場から書かれてる点は、少し残念であったが、非常に面白かった。
 さて、『日本はなぜここまで壊れたのか』が読み終わり、本屋に立ち寄ったとき、思わず目についたのが、佐藤優『獄中記』(岩波書店)であった。タイトルにひかれたのは言うまでもないが、岩波から出ていることは読むに値すると思い手にとった。
 結論を先にいうと、たいへん面白い。久々に、2度3度とメモをとりながら熟読すべき本にであった。遅くても1月中には、もう一度読み返し、重要点をおさらいしたいと思う。
 僕なりに、この本の面白さをまとめると、以下のようになる。
 1.第1線で活動していた外交官の512日という超長期に渡る獄中記録である点
 2.この佐藤氏は、小渕内閣、森内閣下で、ロシアで諜報・工作をおこなっていた第1級の対ロ諜報員、簡単にいうと、政府の命を受け活動する対ロ・スパイであるという点
 3.しかし、法廷闘争の根幹として、(1)国益を最優先に、とりわけ諜報活動や対ロ秘密外交にかかわる点は、自分が不利になっても表には出さない、(2)法的利益よりも、政治的利益を優先するという、彼の愛国心。この点では、当然にも弁護団と論議があったようだが、“無実の証明”という自分の利益よりも、国益を優先するなど、なかなかできることではない。ただ、僕としては、30年くらいして、佐藤氏のスパイ活動が“時効”になったときには、ぜひとも「佐藤事件の真実」という形で明らかにしてもらえればうれしい。>佐藤さん、お願いね
 3.弁証法を拠り所にしてなされる獄中闘争論と裁判闘争論は圧巻。とりわけても、ヘーゲルの「合理的なものは存在し、存在しているものは合理的である」という言葉をキーワードにし、獄中闘争が有意義に展開される点はきわめて興味深い
 4.こうした政府の命をうけ活動する対ロ・スパイ佐藤氏がみる取り調べや獄中の様子、同じ公務員である検察官などの観察
 5.獄中を格好の「学校」として、最大限活用し、自己を再生産しながら不屈に闘う姿
 6.512日分にも及ぶ獄中記にちりばめられる哲学と信念。とりわけても、獄中生活当初から読書する大衆=“思考する世論”をターゲットにし、手紙や記録、論文などを執筆するなど、その戦略には驚く。さすが1級の諜報員としかいいようがない。僕もすでに、彼の術中にはまっているのだが。
 7.そして、こうした任務に忠実な優れた諜報・工作員を、“微罪”によって現場から撤退させる小泉政権の軽薄さが際立つ点。佐藤氏も何度も書いているが、こういう諜報員は外交上の秘密や国益を守らせるためにも、逮捕・起訴という形での“責任”のとらせ方は、国益に反すると考えているし、僕もそう思う。これほどの愛国主義者を、なぜ獄に500日もつなぐ必要があるのか。小泉の軽薄さがなせる技だろう。

 機会があれば、佐藤優『獄中記』メモをいくつかのテーマに分けて、ブログに紹介したいと思う。(のだけれど、たぶん頓挫しそう(汗)

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