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2006年10月31日

●今週の『サンデー毎日』 教育バウチャー制度編

 今週の『サンデー毎日』(11月12日号)は、教育改革特集だったので買った。
 ヤンキー先生こと義良氏が、「日本教育再生機構」(代表・八木秀次)などから左翼よばわりされていることや、岩波書店発行の月刊誌『世界』が、共産党機関紙『赤旗』と同列に批判されていることなど、恐ろしく偏向的な主張が語られていることなど、驚くべきである。『世界』の論調は、良くも悪くも日本の良識であり、右翼だとか左翼だとか、あるいは偏っているとか、そういう次元で語れるものではないのだが、それが一政党の機関紙と同列に並べられるとは、トンデモ見解としか言いようがない。
 さて、たいへんわかりやすかったのは、安倍氏の目玉のひとつである教育バウチャー制度が、まとめられていたことである。
 まず、安倍氏がお手本にしようとしているイギリスの教育バウチャー制度である。
 各家庭が、バウチャー=教育利用券を持っていき、自分の子供を学校に入学させるわけのであるが、各家庭が学校を選ぶためには当然その基準となる情報の開示が必要となる。その一つが、統一学力テストであるという。年に4回の全国統一の学力テストを各学校で実施し、そのランクを出す。保護者は、このテスト結果を参考にして行かせたい学校を第6希望までだす。
 もちろん、判断材料は、学力テストの結果だけではなく、保護者は学校見学やパンフ収集など、少しでも多くの情報を得なければならない。このとき、当然であるが、家庭が裕福でそうした時間のある保護者は、少しでも「良い」学校を探すことができるわけであるが、共働きをしていたり、一日に仕事を複数かけ持っている家庭、あるいは父子家庭、母子家庭などは十分な情報を得ることができない。ここでも格差が広がることになる。
 また、安倍氏は学校に競争原理を持ち込むことによって、保護者や子供にとっていい教育を提供できることになると公言している教育バウチャー制度であるが、学校間格差を広げることになるだろうことは容易に想像できる。イギリスでは、学力テストによる目標管理や学校名の公表、査察制度、成果主義的賃金体系などが、当然のことながら、各学校の格差を拡大させているようである。その結果、序列が下位の学校では、校長のなり手すらみつからず、今年は新学期が始まる1週間前ですら、イングランドだけで1300校の校長が決まっていなかったという。
 こうしたことは、まったく至極当然のことだろう。きわめて簡単に予想のできる結果である。親としては、少しでもいい環境で、いい教師がいて、学力テストの序列が一つでもいいところに、わが子を入学させたいと願うだろう。親心としては当然である。その結果、一部の学校に人気が集中することになる。また、教師にしても、人気校で働けば、給与はいいが、不人気校では同じ仕事をしても、給与が下がるなれば、いい教育の提供などできようがない。そして、そういう学校にしか通えない子どもたちの夢や希望は閉ざされてしまうだろう。
 記事の最後で、民主主義の強固なイギリスでは、各学校の自由と自主性がかなり確保されているのに対して、日本では「命令にどれだけ忠実かを査察するような監視・統制的なものになる可能性が高い」(佐貫浩・法政大教授)と、締めくくっている。
 まったくそのとおりだろう。

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