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2006年10月05日

●ついに! 『美しい国へ』を読んだ! が(^◇^;)

 図書館で予約が続き、なかなか読めずにいた安倍氏の著書『美しい国へ』を読んだ。いや、それは嘘で、実は3割ほど読んで終わってしまっている。
 つい最近読んだ本の中で、非常に深い感銘を受けたのは、日本経済新聞社からでている『戦略の本質 戦史に学ぶ逆転のリーダーシップ』という本である。出版スタンスとしては、経営者に向けて「戦略とは何か、さらに勝利できる戦略とは」というメッセージであり、僕のような一賃金労働者のために書かれている本ではない。さらに、この本を執筆したメンバーをみると、防衛大学校の研究者グループの執筆であり、スタンスとしては、戦争に負けないための戦略の立て方という観点に立っている。絶対平和主義の僕からすると、やはり違和感を感じざる得ない。
 しかし、ハードカバーの400ページ近くあるこの大著は、読みきるのに2日ほどかかった。たぶん、一日中ヒマだったらすぐに読んでしまっていただろう。それぐらい、非常に読みごたえがあった。
 この本は、過去の戦争からの教訓を「勝利の戦略」としてまとめているのであるが、すごいのは、その研究スタンスである。僕的に表現すると、勝てる戦争を分析しても何の教訓も得られない、負けると思われた戦争に勝った、つまり逆転した戦争の戦略を分析することで、「勝利する戦略」を学ぶというスタンスである。そうしたスタイルで、すべての論文に綿密な分析がなされている。まさに、逆転劇の壮快さと逆転に持っていくための戦略の持つ重要性が、無駄な言葉一つもなくつまっているのだ。
 話がそれてしまったが、『戦略の本質』は、防衛大学校の研究者が日本がこれから戦争があったときのために、戦略を研究した論文の集大成であって、僕からすると、「敵ながらアッパレ」という気分になった。。。のだが、安倍氏の本はいただけない。
 何がいただけないか。まず、思想がない。熱い思いが伝わってこない、彼の気持ちがまったく伝わってこないのだ。あるのは、安倍晋太郎はこういっただとか祖父はこうだったとか、あるいは○○大学の教授はだとか、他人に代弁させているばかりで、きわめて退屈である。
 次に、自分の考えを自分の言葉で語ることができないからであろうが、きわめて表面的でまったく本質にまで行き着いていない。何がいいたいのかわからないから、退屈である。言葉上では、はっきりとした態度をなどというが、内容がついてきていない。
 一つの例をあげると、最初にリベラルとはという説明から始まるのだが、彼自身リベラルという言葉を本当に理解しているのだろうか。アメリカではリベラルとはこういう意味で、ヨーロッパではこうこうで、日本ではこうなんだ、それぞれ意味が違っているんだと違いを説明しているだけに終わっている。しかし、重要なことは、リベラルという言葉の「本質」である。
 安倍氏は、著書16頁(本文1頁目)「『リベラル』とはどんな言葉か」で、「よく『リベラル』(自由主義的)という言葉が使われる」と、リベラル=自由主義として、この著書を書き始めているのだが、これはいったいどうなんだろうか。
 結論を先に言うと、リベラル=自由主義ではないだろう。たとえば、ウーマンリブという言葉、漢字で書くと女性解放に当てはまるが、この「リブ」というのは、リベラルの名詞形liberationのリブである。また、リベラルの動詞形であるliberateには、当然「~を自由にする」という意味もあるが、「~を解放する」という意味もある。
 安倍氏は、著書『美しい国へ』で、「ヨーロッパとアメリカでは、受けとり方が大きく違う」(16頁)と断言しているが、大きく違うと感じているのは、安倍氏であって、本質からすると、何も変わらない。安倍氏が言うように、たしかにアメリカ合州国の歴史には封建制時代がなかったが、独立戦争によって、自由を勝ち取っている。それは、安倍氏が著書で「王権に対して、市民が血を流しながら自由の権利を獲得し、民主主義の制度をつくりあげてきた」歴史と全く変わりはない。
 つまり、リベラルという言葉は、安倍氏が思っているような「自由主義」という言葉では全くない。むしろ、「解放的な」とか「進歩的な」という言葉の方が意味合いとしては、ふさわしいのではないだろうか
 安倍氏のこうした独りよがり的な偏見は、最初のページから延々と続く。飽きないはずはない(と、読み切れなかった自分に弁解する。。。)。何しろ、つっこみどころ満載なのだ。まだ、中曽根元首相が、戦争から帰ってきて書いた「若い兵士たちのために慰安所をつくった」という本の方が、中曽根という人物がよく理解できて良かった。
 ただ、はじめにいったように、重箱を隅をつついているわけではない。基本的に、「権威」を前面に押し出して、その「権威」が代弁している形式が、この本をよけいにくだらなくさせている。小泉政権は、「小泉劇場」と揶揄されたが、安倍政権は、劇にもならない。台本にならない。どうしようもないとしかいいようがない。
 ただ、問題であるのは、田中真紀子がいうように「線香花火」のように終わるなどと楽観はできない。こうした安倍のような人物が、首相になることが、庶民の生活を脅かす。短命政権だとか、取り巻きの悪さで自滅だとかという「批判」は、批判に値しない。むしろ、安倍政権を続けさせる台詞である。
 良心的な庶民は、この安倍政権の正体を周りに知らせ、一刻も早く、まともな思想、哲学を持った、庶民の味方となる首相を誕生させないといけないのではないだろうか。

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