●甥・晋三へ「靖国には絶対行かせない」
『ゲンダイ』紙に、政治家・野中広務さんのインタビュー記事が掲載されていた。野中さんは、僕からすると、自民党の土建政治の代表格で、嫌いなタイプの政治家なのだが、一貫して戦争に反対する思いは、すばらしいものがあると、とても感銘している。
さて、その野中さんが、安倍サンを批判している。本当なら、全文紹介したいところだし、また残しておきたい文章である。古い自民党をぶっこわすとして小泉政治が放逐した人物の声だからである。
このインタビューによると、安倍さんの叔父のみずほホールディング元会長の西村氏が、「靖国神社には絶対行かせない」といっていることは、注目に値する。
日本の経済構造は、海外から安く原材料などを仕入れ、それに高い技術力に裏付けられた付加価値をつけ、輸出してなりたっている。そういう意味では、アジアにおける立場というのは、絶対的優位ではありえない。中国や韓国とも、うまく外交を繰り広げていかなくては、経済がなりたたない。日本資本の中枢にいた西村氏の危機感はそこにあるのだろうと思う。
しかし、小泉はともかく、安倍サンはそこがまったくわかっていない。アメリカのように、圧倒的な軍事力を背景に、人を殺しながら無理やり市場を拡大することで、日本の経済も成り立つと考えているふしがある。
アメリカが同盟国だなんていうのは、幻想である。アメリカにとって重要なことは自国の利害であって、日本の利害ではない。日本の利害とアメリカの利害が一致すれば、同盟国としてふるまうが、一致しなければつぶされてしまう。それが、資本主義的な政治の本質である。そこには、牧歌的なものなど一片もない。
話がそれてしまったが、西村さんはきっと憤死されたのだろう。野中さんは、「大切なアドバイザー」を失ったと残念がっているようであるが、むしろ安倍氏の素の姿がむき出しになっていくのは、いいことであると思う。
この5月に「小渕さんを偲ぶ会」で安倍君の叔父にあたる西村さん(正雄=みずほHD元会長)と会った時、「晋三は今、政策を勉強する時期なのに総裁選に出ることになるだろう。でも靖国神社には絶対行かせない。野中さんは日中友好協会の名誉顧問だから中国との首脳会談に力を貸して欲しい」と言われた。
その西村さんが8月に突然亡くなられ、安倍君は大切なアドバイザーを失ったのです。
『日刊ゲンダイ』 2006年 9月20日号


