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2006年09月02日

●論点ぼけぼけ

 『毎日新聞』06年9月1日の朝刊に、阿倍晋三氏の自民党北海道ブロック大会の発言が記事としてでていた。

 なんでも、知人の米国人と靖国A級戦犯合祀問題で論争になり、

「アーリントン墓地に南軍の兵士も埋葬されているが、墓地に参る大統領らは奴隷制度を肯定しているのか」
と聞いたらしい。その相手の米国人が、政治や経済の要人でないことを祈るばかりである。

 阿倍氏のいいたいことは、米国南北戦争時に奴隷制度を指示した南軍の兵士の眠る墓地へ大統領が行くのと、A級戦犯がまつられている靖国神社へ日本の首相が参拝に行くのと同じだということなのだろう。

 しかし、本当なのか。

 第1に、問題なのは、アーリントン墓地に埋葬することと靖国神社へまつることは全く意味が異なる。もし、阿倍氏が「同じである」というなら、まさに靖国を否定してしまうことにつながるのではないか。つまり、アーリントン墓地と靖国神社がイコールであるなら、日本の愚かな戦争の犠牲となった一般兵を始め、A級戦犯とされる人たちも、国立墓地に葬り、そこに首相が参ればいい。そして、それなら国際問題とはならないのではないか。

 次に、仮に、アーリントン墓地がきわめて政治的で、宗教的な墓地であると仮定したとしても、南軍の一般兵と戦争を指揮したA級戦犯を同列に並べていいはずはない。もちろん、現場で戦った兵隊は、それなりの責任があるが、その兵隊を指揮し、犬死にさせた上で、他国の罪もない人々を殺させた罪はとてつもなく大きい。

 ちなみに、時の田中角栄首相が、日中友好条約を結んだ際、中国が当然要求すべき莫大な賠償金を放棄したのは、日本国民には罪はないという理由からであることは有名である。

 3つめに、そもそも、日本の政治は日本に生まれ、暮らしている人が決めるべきであって、アーリントン墓地がどうあろうと、フランス人、イギリス人がどう考えようと、関係ない。

 だいたい、中国や韓国の世論に対しては、「独立」心が旺盛だが、なぜ欧米となると、トーンが下がるのだろう。もしかして、彼の「美しい国」というのはアメリカ合州国がお手本なのだろうか。

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