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2006年08月27日

●戦争を売り物にする政治家

 『文藝春秋』9月号は、おもしろい。特別定価760円なのだが、その価値は十分にあるのではないだろうか。
 まず、「昭和天皇『靖国メモ』 未公開部分の核心」という記事。ふたつめに、「中国が仕掛ける遊就館戦争」はつっこみどころ満載。また、「保阪正康連続対談 昭和の戦争 七つの真実」も読みごたえあり。そして、4つめに、「『闘う政治家』宣言 この国のために命を捨てる」という安部晋三氏のインタビューである。
 といっても、先の3つの記事からすると、内容がなくまったく薄っぺらなものである。しかし、このような内実がまったくなく極めてイデオロギッシュなことしかいえない人物が首相になるかもしれないというところは非常に面白みがある。『文藝春秋』9月号の「編集だより」にも、このインタビューを読んで「読者の皆さんは若き総裁候補の宰相の器をどう量るでしょう」と、なんとも歯切れの悪い言葉で結んでいる、
 さて、このインタビューの中で、安部サンは決意主義的に「国民を守るために命をかける」と吠えているのであるが、本当に国益や国民を「命をかけて」守りたいのであれば、国際協調、とりわけアジアにおける各国との協調をはかるべきではないのか。
 インタビューでは、

「(北朝鮮が)日本に向けてノドンを数発発射し,万が一,それが日本本土に着弾するようなことになれば,日米同盟に基づいて米軍が報復します。F16戦闘機から,あるいはイージス艦から,命中精度の高い巡航ミサイルが,イラクでフセイン以下の要人を狙ったときと同じように,金正日委員長にピンポイント攻撃をおこなうはずです」『文藝春秋』9月号106頁

 といっている。
 北朝鮮からロケットが飛んできたとき,本当に,米軍が出動すると考えているのかというあまりにも酷い政治センスのなさはともかく,重要なことは,以前のエントリーにも書いたように,日本に暮らす人々の安全などまったく考えていないということが現れている点である。
 本当に,「命をかけて」国や人々を守るつもりがあるなら,米軍の報復など頼らずに,命がけで”ロケットが飛んでこない”ような外交努力をすべきではないのか。
 そういう外交努力もせずに,むしろ挑発し,「ロケットが着弾すれば,,,」などというのは,無責任であるし,日本で生活する人々の生活や生命を第一に考えていない証拠である。
 いずれにせよ,『日刊ゲンダイ』紙が指摘するまでもなく,「首相の器」どころか,平和な暮らしを望む庶民からすると,非常に危険な政治家であることは間違いなさそうである。

もともと安倍は「憲法上は原子爆弾だって問題ない」と豪語する危なっかしい人物だ。それにしても、日本のリーダーになろうというときに、こんな構想しか出てこないとは開いた口がふさがらない。
「総裁、首相の器ではないと自ら公言しているようなものです。安倍氏が目指しているのは、戦争ができる国家体制にすること。戦争国家への道を突っ走り、際限ない対米軍事協力に乗り出そうとしているのです。それには憲法の条文を変える必要があるが、改憲のハードルは高いので、とりあえず政府の統一見解を破棄し、現行憲法でも集団的自衛権の行使ができるように解釈を変えようとしているのでしょう。驚くほどの軍事化路線で、経済も外交も置き去りですね」(九大名誉教授・斎藤文男氏=憲法)
安倍の売り物は戦争だけだ。しかも、そうしたタカ派イメージを積極的に宣伝し利用しようとしている。近著でも「闘う政治家」なんて言っちゃって、「批判を恐れず行動する」と息巻いている。

『日刊ゲンダイ』 (2006年 8月26日号)

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