●ヤスクニの反動
このあいだ、NHKの靖国参拝をめぐる論議をテレビでちらっとみたのだが、そのとき、若い女性が「反発しているのは中国と韓国だけ」という旨の発言をしていて驚いた。
彼女は、一体、中国や韓国の反発をどう考えているのだろうか。理由もなく反発していると思っているのだろうか。「反日」といっても、それ自体が目的であるわけはない。物事にはかならず理由があるのではないだろうか。
なぜ、靖国参拝がアジアを中心に多くの人々の耳目を集めるのか。それは、日本の歩んできた歴史の結果にほかならないのでないか。そうであるならば、中国、韓国のみならず、他のアジア諸国にも重要な関心事にならざるえない。
だいたい、日本は世界を代表する経済大国となり、中国や韓国以外の国が、日本の政治に真っ向から意見など言えるはずもない。そんなことをすれば、経済制裁を受ける可能性もあるからである。
経済大国・日本へ意見をいうという「タブー」がある中、『「JCJふらっしゅ」2006/08/24 1157号』に、アジア各国からの「ギリギリ」の気持ちが表現されていたので、いかに転載したい。
Z記者の「報道の現場から」
▽中・韓・アジアは反発、抗議
首相の靖国参拝で海外の反応
22日付けJIJふらっしゅ1155号「首相靖国参拝で与野党の発言」の続報で、海外、特に中韓を中心としたアジアの各国政府の反発・非難とメディアの論調などの動きを紹介する。
まず、中国外務省は15日、「国際正義への挑戦で、人類の良識を踏みにじるものだ」と非難し「強く抗議する」との声明を出した。声明は「日本各界の有識者が歴史の潮流を認識し、政治的障害を取り除いて中日関係を早期に正常な発展の軌道に戻すよう努力すると信じている」と指摘している。
中国政府は日本の閣僚などが首相の参拝を支持した時には、日中首脳会談だけでなく外相などの閣僚や政府高官レベルの対談を再び拒否する可能性もあるとみられる。
中国のメディアでは、新聞は「小泉首相靖国参拝」を一面トップで掲載、各紙の見出しは、北京の新京報が「中国が参拝に強く抗議」、上海の東方早報は「東京での抗議行動」、人民日報の海外版は「参拝は国際正義への挑戦」との論評、北京青年報は「小泉最後の演出」など。
中国国営通信の新華社は、「中国が日本による侵略戦争に勝利した日をわざわざ選んで参拝した」「小泉首相は平和のためなどと、屁理屈を繰り返してきた」と激しく非難する論評を配信した。
中国中央テレビはトップニュースで参拝に関する各国反応を報じた。さらに、インターネットの掲示板は、小泉首相をののしる書き込みであふれ、「日本製品の不買を断固実施しよう」などとも書かれてあった。
韓国も外交通商省が15日、「深い失望と憤怒を表明する」との声明を発表した。声明は「韓日関係の障害となり、北東アジア地域の友好協力を棄損したことを厳しく指摘する。国際社会で責任ある役割を務める意思があるならば、歴史を直視し行動で信頼を築かなければならない」と注文した。
韓国では15日は日本の植民地支配からの解放を祝う「光復節」の記念日。ノ・ムヒョン大統領は靖国参拝への抗議の演説を行った。
メディアでは、KBSテレビに出演したソ・ジュンク大統領首席秘書官が「日本の次期首相が靖国神社に参拝すれば、日韓首脳会談は行わない」と述べた。また、聨合ニュースは、A級戦犯が分祀されても参拝は容認できず、問題の解決とはならないとの考えを韓国政府が内部で確認したと伝えた。
さらに同ニュースは、外交通商省のユン・ビャンセ次官補が「次期首相に誰がなろうと靖国参拝には厳重に対処する」との方針を明言したと報じた。
シンガポール外務省は「参拝は日本の国内問題であると同時に、国際外交上の関心事である」と指摘し「東アジアの緊密な協力関係の樹立という共通の利益を阻害するもので、日本がこの利益を見落とさないことを望む」との談話を発表した。
マレーシアでは最大の華人団体が「小泉首相は第2次大戦で被害を受けた人々の思いに留意し、誠意を示すべき。日本人は平和を求めていると語る一方で、侵略の象徴を追い求めている」と強く批判した。
ASEAN=東南アジア諸国連合から東アジア共同体の創設を目指すタイ外交筋は「アジアの発展には日中、日韓の良好な関係が不可欠であり、このままでは日本の域内存在感は薄れる」と警告を発した。
香港では15日、旧日本軍による戦争被害者らでつくる「香港索償協会」など計10団体が小泉首相の参拝に抗議し、デモ行進し、メンバーの一部が抗議文を日本総領事館側に手渡すなどした。
台湾では統一は市民団体メンバーが17日、抗議行動を行い、日本の対台湾交流機関、交流協会台北事務所で首相非難の抗議文を事務職員に手渡した。
北朝鮮の国営中央通信は15日、「靖国参拝は日朝平壌宣言に完全に反する。朝日関係を悪化の一路に追いやっている」とする非難論評を初めて出した。
米国、英国もそれぞれ首脳発言などをメディアが伝えているが、どれも同じ内容。英紙タイムズの社説を報告する。「日本は中国や韓国との外交的対立を鎮める努力を しなくてはならない」とする一方で「中国や韓国にも非はある」とどちらともいえない内容となっている。


