●深刻な石油問題
化石燃料の枯渇が、問題化されてかなりの時間が経っているが、本質的な解決はなされていないし、なされようという真剣さもあまりみられない。
『日刊ゲンダイ』の記事で、次のような深刻な事態が報じられている。
……生産量は毎年増加している。しかも、既存の油田は相当に老朽化している。
「サウジのガワール油田は、世界最大の1日当たり450万バレルを産出し、サウジの生産量の6割を誇っています。しかし、すでに自噴する力を失っていて、加圧のために1日700万バレルもの海水を油層に注入して原油を取り出している状態です」 (石油関係者)
……
専門家の間では2010年の前にもピーク・オイルが来ると予測されている。そうなれば、石油の9割以上を輸入する日本では電力、運輸、化学工業だけでなく石油漬けになっている農業などが打撃を受け、産業・社会構造が変わってしまう。いまから対策を取らないと大変なことになる。
『日刊ゲンダイ』 2006年 8月19日号
石油の枯渇の危険性を感じざるをえないのは、すでに原油が噴き出すような状況ではないということである。記事によると、あと3~4年の内には原油生産量にピークが来るとされていて、もし本当であるならば、今後石油関係の価格は上がるいっぽうだろう。
先日、ニュースをみていたら、原油の高騰を受け操業がままならないイカ釣り漁船のことが話題に上がっていた。つれ合いとみていて驚いたのは、イカ漁の経費の2割が燃料代になっているということだった。
イカは当然海産資源であるので、漁獲高に応じて価格が決定されるとばかり思っていたのだが、なんのことはないイカの卸値の2割は石油が占め、想像するにスーパーで売っているイカの1割は石油代なのではないだろうか。
原油の高騰は、電力や運輸などへの影響を与えるのみならず、食料品や薬品にも大きな影響を与える。国民生活に想像を越えるほどの困難を強いるであろう石油危機に対して、政府はいったい何をしているのだろうか。
クールビズの推進、決して悪いことではないが、これを進めたからといって、本質的にはなんの解決もしない。クールビズは、化石燃料のエネルギー資源としての役割を担うものではない。燃料電池波動か。化石燃料の代替エネルギーにはなりそうであるが、これまた本質的解決には程遠い。エネルギーは常に保存されるため、水素が酸化されるときに出される電気エネルギーは、水を電気分解する際に使われるエネルギーに等しい。つまり、燃料電池の優れた点は、CO2排出をわずかに抑えられるということだけであって、これが化石燃料の削減につながる期待はできない。
国の最高の行政責任者である首相は、してもしなくても国民生活になんのさし触りのないヤスクニ参拝などを公約にするのではなく、5年後、10年後を見据えて国民に公約を示し、実行してもらいたいものだ。


